クレームの犯人

組立ラインの最後に控えるのは梱包ですが、その前にCAと言う検査工程があります。
コンシューマー・アシュアランスの頭文字との事です。
短時間で全ての機能をチェックする検査工程です。
ライン・タクト時間より約4倍ほどの時間を要するので、大体4人が平行して検査します。
この工程は余程センスの良い人でないと勤まりません。
センス、五感ですね(昔シックスセンスと言う映画がありました)。
特に品証(品質保証部署)からお墨付きをもらった人が勤めますが、残念な事に、不公平感に敏感な女性の職場として高い給料が与えられるわけではありません。
まあボーナスの査定のときには、当然高得点を付けられることになります。
ここで不具合を見逃すと市場クレームとして跳ね返ってきますので、牙城とも言えます。
この工程で最も優秀な人は品証から目を付けられ、出荷検査に引き抜かれることはままあります。(トップガンの世界です)

動的検査をしながら外観検査も同時に行われます。
ある日、仲良くしていたライン長から、外観NG品が多すぎて仕事が増えて困っているとの相談を受けました。
CA検査工程の女性たちとお話をしました。
実際NGでライン落ちしている製品を見ながらレベル合わせをします。
私:「これくらいの小さなキズは大丈夫です。」
女性たち:「はあ〜」
どうも納得していない。
そこでライン長の意見を求めた。(製造ではライン長がバレンタインデーに一番チョコをもらう)

私:「ねえ、ライン長。これくらいの製品が電気屋さんで売っていても気にしないよね?」
ライン長:「いえ、私は気にします。これを理由に値引き交渉に持ち込みます。」

全ての原因がはっきりした。
おまえ、お前だよライン長、クレーマーだったのか。


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生産ラインの検査の話

品質保証部の行う出荷検査はラインでの検査より複雑な検査を行います。
不良が発生すると程度に応じて微欠(微細な欠陥)、軽欠(軽い欠陥)、重欠(重大な欠陥)の3段階に分けて不良対策依頼書が製造部に発行されます。
そして重欠と軽欠3つ以上の場合、出荷停止が行われます。

良くある重欠(じゅうけつ)として異物混入があげられます。(略してイブコン)
特に怖いのがビスなどの金属部品の製品内落下です。
これは電流の流れる基板上のパターンやランドに触れた場合、火災を引き起こす可能性があります。
生産ラインでは作業者がうっかり製品に異物を落下させてタクト時間内に取り除けない場合、不良品としてライン外に置かれ修理マンが処理します。
しかし作業者本人が気が付かない場合や申告しない場合、そのままライン上を流れます。
CA検査で製品の傾け試験があるのですが、ビスが挟まって動かない場合やライン上の騒音でビスの転がる音が聴こえない場合発見されません。

出荷検査は騒音対策した場所で念入りに叩いて90度傾け試験が行われますのでまず見逃しません。

出荷停止となったラインでのその日の生産した製品を出荷させることは出来ません。
ですが、実際出荷をやめると言うことは諸々の事情で無理です。
そのためには全数検査(ゼンケン)が行われます。
生産ラインを止めることなくCA検査前に異物混入専門検査要員が張り付いて、製品を頭上に持ち上げ振るという検査が行われます。
これは力の有る男性が行います。

また、既に梱包を終えた製品を開けて(開梱カイコン)製品を取り出し、頭上で振る、その後箱に戻しテープを張ると言う見直しラインが作られます。
皆さんは新品を購入したのに一度張ったテープをカッターで切り、さらにその上にテープを張った製品を買ったことがあるかもしれません。
それは、出荷検査とこのような事情によって発生します。

生産の終了する夕方、このゼンケンが発生すると悲惨です。
ほぼ一日分の生産数のカイコンをしなければならないからです。
もうトラックに積み込まれた製品も降ろさないといけません。
トラックの運転手もイライラしてゼンケンの終えるのを見守ります。

しかしゼンケンで新たに不良品が見つかるかといえばそうでもありません。
全くなかったと言うことがザラにあります。
出荷検査に選ばれる人間の不思議としか言いようの無い能力に驚かされます。
数百分の一と言う確率でそういう不良品を引き当てるのです。
彼の彼女のそういう能力を誰も喜びません。
建前では一台不良品が市場に出なかったことを喜び彼や彼女に感謝しなければいけないのですが・・・


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組立ラインのおばちゃん

以前に勤めていたオーディオメーカーでのお話です。

どこの職場でもそうなんでしょうが、組立ラインにはいろいろな人がおります。
手の早い人、遅い人・・・しかし早ければ良いと言うわけではありません。

組立ラインは、一定時間でチャイムを鳴らします。
このチャイムのタイミングで自分の目の前の製品を隣に流してくれれば良いのですが、新しく入った人はなかなかこなすのが大変です。
だいたい3日もやれば慣れてきますので、しばらくはヘルパーさんが付きっ切りで手伝いながら指導するのです。

ですが、組立ラインの一番の困ったちゃんは、実は、手が遅い人ではないのです。
手が早くて頑張っちゃう人が困るのです。
そういうおばちゃんが過去におりました。

隣がもたもたしていると製品を積み上げ、次の製品の組立に入ります。
しばらくすると、そのおばちゃんと隣の子の間に3段4段と製品が積まれていきます。
そうなると、隣の子はすっかりプレッシャーを感じて、ちぐはぐな動きになって更に遅れるようになります。
私はその光景を眺めると、おばちゃんに
「そんなに頑張らなくて良いから、チャイムが鳴るまで休んでいたら。」
と何度も言いましたが、おばちゃんは、若造(当時はまだ20代だった)の言うことなんか耳を貸しません。
「ふん、あんたなんか口ばっかりで何も出来ないくせに。」
と悪態が帰ってきます。

私は終日机に座っていることが苦手で、仕事途中、体を動かしたくなる性格でした。
ライン長が「困った困った休まれてしまった」と言って自分でラインに入っていたときは、よく変わってあげていました。

ある日、そのおばちゃんの隣の子が休みました。

おばちゃんがおいでおいでをしています。
「そうかやったろうじゃないか!」と私はラインに入りました。
当然おばちゃんは張り切り、私との間に製品を重ねた垣根を作ろうとします。
そうはさせじとこちらも必死。
迷惑なのは私の隣にいる子。
昼になってとうとう垣根は出来ませんでした。
昼食に向かおうとしたら
おばちゃんが
「あんたも少しはやるじゃない。」

それからは、おばちゃんは私に少しやさしくなりましたとさ。


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オーディオ研究所
所長  佐藤 彰
みなさんこんにちは。
オーディオ研究所 所長の佐藤 彰です。

オーディオ機器の修理やオリジナル部品の開発をしています。
中学の頃からスピーカーを自作したりして、オーディオ人生まっしぐらです。
修理の話、音楽の話、以前に勤めていたオーディオメーカーでの話などいろいろ載せています。
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